豊島子どもWAKUWAKUネットワークは、新型コロナウィルス感染症流行前まで、東京都豊島区内で4つの子ども食堂を運営し、たくさんの子どもや親の居場所となってきた。コロナ禍で子ども食堂は休止となったが、その後の活動について理事長の栗林知絵子さんにお話を伺った。
2月下旬に小中学校が休校になると、給食の停止や親の勤務状況の変化など、子育て世帯に影響が出始めた。支援の方法を探した結果、フードパントリーを行うことになった。密を避けて屋外に会場を設け、米やレトルト食品などを取りに来てもらう取り組みだ。
団体や個人に食品の寄付を依頼したり、寺の境内など配布場所の提供をお願いしたりと奔走し、9か所でフードパントリーを実施して、計404世帯分の食料品を提供することができた。
4月に緊急事態宣言が出ると、外出を伴うフードパントリー以外の方法が必要になり、宅配で食料品を届けることになった。そして注文の際には、現在困っていることを記入できるようにした。子ども食堂は単に食べ物を提供する場ではなく、子どもや親とコミュニケーションを取り、孤立させずに支えるための場所だ。それを宅配のなかにもできる限り取り入れた。
子どもを預けていた保育園が休園になり仕事に行けなくなった母親や、アルバイトの収入がなくなった学生などから悩みが届き、相談先につないだり一緒に散歩をして話を聞いたりと、さまざまな形で支援を行った。
一連の活動のなかで実施した子育て世帯へのアンケートでは継続的な支援を望む声が寄せられ、5月からは飲食店の協力もあり、豊島区内で毎日弁当を配るプロジェクトも始めている。
休校や外出自粛の状況下で、生活リズムや食の乱れが心配な子どもや、密室育児になりがちな親子が孤立しないように工夫を重ねてきた。状況の変化にあわせ、その時々にできる方法を探して実現させながら関わりを続ける。食を通じたつながりはこれからも途切れることはない。
2020.05.28
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